umindalen

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2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「人薬」の験あらたか

ひとと会うとたいがいはなんともいえない居心地の悪さを覚えるわたしであるが,そのぶんたまには感動するほどの出会いもある.これほどに気分がよくてはしゃいでいるのはほんとうに久しぶりかもしれないので,書き留めておくのも悪くないだろう.「人薬(ひ…

吉本隆明『エリアンの手記と詩』

軒場の燕の掛巣などを 珍らしげに確かめていたおまえの影よ! おまえは何かを忘れてきたように 視えたものだ! 抱えこむような手振りで けれど何も持つてはいなかつた あずけるような瞳で けれど何も視てはいなかつた それから 亀甲模様の敷石によろめいたり…

死ぬことを持薬をのむがごとくにも我はおもへり心いためば

自殺を思うことは,すぐれた慰めの手段である.これによってひとは,かずかずの辛い夜をどうにか堪えしのぐことができる. ―ニーチェ『善悪の彼岸』信太正三訳 「使やしないよ.僕は使やしない.あの時の話のように,ただ自由を持っていたいだけだ.これさえ…

金井美恵子『愛の生活・森のメリュジーヌ』

愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫) 作者: 金井美恵子,芳川泰久 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/08/08 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 13回 この商品を含むブログ (46件) を見る 内容紹介: 《わたしはFをどのように愛しているのか?》…