umindalen

本と映画,カイエ.umindalen@gmail.com

死ぬことを持薬をのむがごとくにも我はおもへり心いためば

自殺を思うことは,すぐれた慰めの手段である.これによってひとは,かずかずの辛い夜をどうにか堪えしのぐことができる. ―ニーチェ『善悪の彼岸』信太正三訳 「使やしないよ.僕は使やしない.あの時の話のように,ただ自由を持っていたいだけだ.これさえ…

金井美恵子『愛の生活・森のメリュジーヌ』

愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫) 作者: 金井美恵子,芳川泰久 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/08/08 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 13回 この商品を含むブログ (46件) を見る 内容紹介: 《わたしはFをどのように愛しているのか?》…

『WXⅢ 機動警察パトレイバー』

WXIII 機動警察パトレイバー [Blu-ray] 出版社/メーカー: バンダイビジュアル 発売日: 2008/07/25 メディア: Blu-ray 購入: 2人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (9件) を見る ゆうきまさみによる原作コミック「廃棄物13号」をモチーフに、サスペンスタ…

猫について

来れ,わが麗しき猫,わが戀の炎ゆる心に. 汝が趾の爪をかくして, 金銀と瑪瑙の混れる美しき眼の中に わが體を投入れしめよ. ―ボードレール『猫 LE CHAT』,鈴木信太郎訳 学部を卒業してこのかた,友人は減ることこそあれ,増えることはない.一時は人間…

赤坂憲雄『性食考』

二月のなかばに京都へ旅行をしてきた.以前にも幾度か訪うているから,どこを見て回ろうか思案していたのだが,すぐ頭に浮かんだスポットとして,あの『檸檬』の丸善がある(ところでわたしは京都の地理にうとく,一番の繁華街といえばあの四条河原町のあた…

洒落と散文

Twitter を彷徨していると,ときおりほとほと感心させられるようなセンスあふれる呟きに出会うことがある.たいていは諧謔の一行である.諧謔は短ければ短いほどよいが,それはおもしろさを説明するのがより難しくなるからであろうか.発信する側と受け取る…

ブログを書く

どうしてブログを始める気になったかと言えば,ある程度まとまった量の改まった文章を,ひとの目に触れうる(だから,批判されうる)形で書くということは大切であろうと考えたからという,月並みな理由による.Twitter で短い思いつきを,別にただの冗談で…

名刺代わり

そこそこの数の記事を書きためれば,このブログは名刺代わりになって便利なのではないか,というようなことを考えていた.この歳にもなれば,積み上げてきた経験は各々そうとうに異なるものであるから(なのにいつでも人間とはその身一つとしてわれわれの知…

古井由吉『槿』

槿 (講談社文芸文庫) 作者: 古井由吉,松浦寿輝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2003/05/10 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 26回 この商品を含むブログ (33件) を見る 古井由吉という名前を初めて聞いたのは(恥ずかしながら最近のことで),数か月前…